こんにちは。カズゥです。
今回の読書感想文は、ちょっと(かなり?)古い本ですが 志水一夫著「UFOの嘘」と「大予言の嘘」の2冊です。
実は原本はどこかにいってしまって家を探してもなかったです。なので、内容はうろ覚えで申し訳ありませんが、でも人生を変えてくれた本なのです。
書店で見かけた昭和40年男増刊
雑誌の「昭和40年男」6月増刊、書店で表紙がパッと目に飛び込んできました。「ノストラダムスの大予言」の表紙でした。目次を見ると第二章が「オカルト」でした。
パラパラっとページをめくっていると、脳裏に昔の思い出がよみがえってきました。
なので、今回この2冊の本の読書感想文を書こうと思いました。
オカルトバブルの時代
わたしも昭和40年男なのですが、1980年代はオカルトバブルの時代でした。
テレビでは矢追純一のUFO特集、ユリ・ゲラーの超能力、Mr.マリックの超魔術と隆盛でしたし、雑誌は今だと「ムー」ぐらいしかないですが、あのころは「ムー」のほかにも「トワイライトゾーン」、「ワンダーライフ」などのオカルト雑誌が少なくない数、発行されていました。
まあ、オウム事件とともにバブルははじけるんですけどね。
オカルトにハマる
1980年代当時、中学生のわたしは学生生活に不安を感じ始めていました。そういう時、「ムー」などのオカルト雑誌を読んでいると、不思議と勇気づけられていました。
世界には不思議なことがある、自分にも不思議な力があるかもしれない、世界はそのうち終わるんだ。まあ、現実逃避ですね。
少しずつ、購入するオカルト雑誌が増えていき、オカルト番組はかかさずビデオに録画して視聴するようになっていました。
その後、不登校になってしまったわたしは、同級生から後れを取ってしまった焦燥感をすごく感じていました。
この後れを何で取り戻すか?普通のやり方では到底追いつかない。そうだ!「オカルト」があるじゃないか!あれには普通の人が気づかない秘密があるに違いない!あれを研究しよう!
そう思ったわたしは、オカルトにどっぷりハマってしまいました。
「ムー」に実践講座みたいなコーナーがあったんですけど、毎月かかさず実践していましたしたねw
ちょっとヤンチャな子は酒とかタバコとかするんでしょうが、そんな度胸のないひきこもりはオカルトでした。
ある団体にハマる
最初に言っておきますが、ある団体とはオウムではないです。
その団体はあるオカルト雑誌で人気がありました。わたしも、その団体と代表者にハマってしまいましたが、大変お金のかかる団体でした。グッズも1個で数万円するものもありました。
ある日、その団体が関東である儀式を行うという告知を見ました。その儀式とは参加した人の性格をその人がなりたい性格に変えることができるというものでした。自分の性格が嫌いだったわたしは、その儀式に参加し、大胆不敵な性格に変えてもらいたいと強く思っていました。が、しかし参加費用が数万円~数十万円と、あまりに高額だったので、その時は参加を見送りました。でも、いつか必ず機会があればその団体に入団したいとまで思いつめていました。
あとは、親を説得して資金を出してもらい、いつごろ出発しようかなどと考えをめぐらしていました。
そんな時にこの2冊の本に出会いました。結果的にこの2冊の本を読んだことによって、この団体に参加したいとの思いは無くなることになります。
「UFOの嘘」にハマる
なぜ、そんなオカルトどっぷりのわたしがアンチオカルト本のこの2冊を読んだか?
実は出版されるオカルト本は大体購入していたので、読む本が無くなってしまったのです。さすが、ひきこもりです。ヒマですからね。しょうがないんで、たまたま書店で目に留まった「UFOの嘘」を読んでみることにしました。たまにはアンチオカルト本でも読むのも悪くないだろうみたいな気持ちでした。
まず、著者の志水一夫氏が完全なアンチオカルトの人ではなかったので、あまり抵抗がなく読み進めることができました。
これが、頭ごなしにオカルト否定全開の人だと反発心がでてきて読む気にならないんですけどね。
UFO現象にも1%の真実がある、しかしその真実にたどりつくには99%の嘘が立ちはだかっているのでそれを崩さなければならない。というスタンスだったように思います。
オカルトを各種データを活用して科学的に批判、分析している本を読んだのは初めてでした。
わたしのオカルト100%ビリーバーの頭の洗脳がだんだんとけていきました。
まあ、志水氏の文章は若干、回りくどくて時々何を言っているのかわからないところもありますがw
「大予言の嘘」にハマる
「UFOの嘘」が面白かったので、続いて「大予言の嘘」も購入して読んでみました。占いや予言の手口やカラクリを暴いていくのがとても痛快で興奮して読んでいました。
わたしは、この本を読むまで「ノストラダムスの大予言」などの終末論にのめりこんでいて、1999年に世界が終わると本気で思い込んでいました。
どうせひきこもりなので、世界が終わってリセットしてもらったほうが良いぐらいに思っていました。
読み終わって、ふと我に返った時、終末予言を信じ切ってどうせ世界は終わるんだと、これまで無為に過ごした日々を思い返して後悔の念におそわれました。
また、本作も前作に続いて読みにくいところがあり、Amazonのレビューで()の中に『』が入ったり、()の中に{}が入ったりとカッコが多いと苦情を書いていた方がいましたが、確かにその通りでプログラミングの入れ子構造のような文章というか、文章のマトリョーシカというかw
と学会にハマる
この2冊の本を読んで以降、志水氏が所属していた「と学会」にハマるようになります。
と学会は、「世間のトンデモ本やトンデモ物件を品評することを目的としている」と謳っている、日本の任意団体。
引用:Wikipedia
今度は「と学会」の本を読みまくるようになったわたしは、それまでの反動でアンチオカルトになってしまいました。
いろいろなオカルト本を読んできましたが、わたしの境遇はまったく変わらないままでしたし、何ひとつ好転してくれませんでした。
その恨みを晴らすがごとく、オカルトをディスりまくるようになります。
今の時代でもインフルエンサーがいろいろいますが、あまり信者にならずに客観的に観察できるようになったのも志水氏と「と学会」の本のおかげです。何事も信者にならないように気を付けています。
たまに、この2冊の本に出会わなかったらどうなっていたんだろうか?と考えることがあります。
もしかすると、あの団体に入団していたかもしれません。(この団体はその後、いろいろと世間を騒がせることになります。)
また、オカルトにハマりすぎて、もしかすると命を落とすこともあったかもしれないと思うと、ゾッとするときがあります。
結局、オウム事件の前に「オカルト」から卒業できましたし、「ノストラダムスの大予言」の呪縛からも解放され、生まれて初めてのバイトをしたのは、1999年7月を過ぎた、その年の8月のことでした。
「オカルト」は、オウム事件以降、衰退したかに思われましたが、結局「スピリチュアル」と多少ソフトな表現に姿を変え今も生き残っている気がします。
現代もあの頃とたいして変わっていないのかもしれません。
志水先生ありがとう
そんなわたしを救ってくれた志水一夫氏だが、2009年にガンで亡くなられています。
唐沢俊一さんのブログによると、
彼は自分の買った本に追い出されて仕事場にも自分の寝室にも
いられなくなり、最後はリビングのソファで寝起きしていた。
ガンで腰にかなりの痛みがあったのだが、病院にかかるのが
遅れたのは、ソファで無理な格好で寝ているから痛むのだろうと
思っていたからだという。
本に殺された、と言っていいと思う。
とのこと。
志水氏は「本」に殺されたようなものだという・・・。わたしは、志水氏の「本」に救われたのに・・・、残念ですね。
もはや、読書感想文でもなんでもないのですが、結局何が言いたいのかというと、機会があれば一度お礼を言いたいと思っていたという話です。
志水一夫先生、ありがとうございました。