こんにちは。カズゥです。
今回の読書感想文は、家入一真著「こんな僕でも社長になれた」です。
Kindleのわたしへのおすすめにあったので、読んでみたんですが、2007年と結構前の著作なんですね。
では、よろしくお願いします。
本当に『こんな僕でも』な家入氏(ほめ言葉)
世の中、『こんな僕でも商法』というのがあります。こんな僕でも、○○になれた、または、こんな僕でも、○○ができた、というものです。
世の中の『こんな僕でも』な僕たちに向けて書かれた本とかです。この本のタイトルも、もろにそれっぽいです。
この、『こんな僕でも商法』本の『僕』はしょぼければ、しょぼいほどいいわけです。
しかし、一連の『こんな僕でも商法』本を読んでみると、大体は、ぜんぜんしょぼくないのです。
きちんと、大学を卒業していたり、学生時代は部活で活躍していたり、一流企業に勤めた経験があったり、どこがしょぼいんだよ!とツッコミたくなることが多いです。
つまり、より今の成功を大きく見せるがために、過去の自分をことさらに、しょぼく見せたがるのです。
しかし、この著者の家入さんは、帯の宣伝文句通り、
貧乏、イジメ、登校拒否、ひきこもり、両親の離婚、月収6万円で新聞配達
逃げて逃げてこの場所にたどり着いた。
「こんな僕でも社長になれた」のタイトル通り、まぎれもなく『こんな僕でも』でした。
そんな、家入さんのサクセスストーリーだからこそ、参考になる部分が多かったです。
中学生くらいのトラウマって一生残るよね
クラス一の人気者で、たくさんの友達であふれていた家入さん。転落のきっかけはささいなことでした。
中学二年の夏、仲の良かった友達をからかったことから始まります。軽い悪ふざけがちょっとしつこかったのか、友達を激怒させ、絶交してしまいます。
そこから、無視が始まって友達がいなくなり、不登校、ひきこもりになってしまいます。
このパートの描写はとてもリアリティがあり、社長になった今でも、詳細に思い出せるぐらいのトラウマだったんだろうなと思いました。
わたしもいまだに、中学生時代の悪夢を見ますので、中学生くらいのトラウマって一生残るよなーと思いました。
でも、家入さんは今では成功されているので、中学時代のトラウマも家入さんにとっては、財産のようなものかなと思ったりもします。
起業という道
新聞配達の奨学生、デザイン会社を経て、インターネット関連企業にお母さんのコネで就職した家入さん。
充実した私生活を送り、プログラマーとしての仕事も順調、結婚もして、奥様も妊娠されます。
奥様が妊娠されたことにより、家族との時間を犠牲にすることなく、お金を稼ぐ方法を模索します。
そして、家入さんは起業を決意します。それが、ナウでヤングなレンタルサーバー、「ロリポップ!」です。
ちょっと、話がそれますが「ドラえもん」で、ドラえもんが来なかった場合の未来ののび太くんはどうなってるか知ってますか?
しずかちゃんではなく、ジャイアンの妹のジャイ子と結婚しているのは有名ですが、ドラえもんが来ない場合の未来ののび太くんは、実は起業しているんですよね。
大学受験にも就職にも失敗し、ついには起業する(雑誌掲載版では父親の会社を継いだ)。しかし起業から5年後、自分で使用した花火の不始末により社屋が炎上、さらには倒産。孫の孫の代にまで残る借金を残し、さらにはジャイ子と結婚して子供も6人もうけている運命とセワシが説明したが、ドラえもんの登場により、将来は憧れていたしずかと結婚する様に運命が変わる。
引用:Wikipedia
のび太くんのもうひとつの未来も、なかなかドラマチックで悪くないじゃんと思ってしまいました。
今の学校というのは、少々乱暴に言うとサラリーマン製造工場だと思うんです。
その昔は、戦争の時代だったら兵隊製造工場だったり、工業化が盛んな時代は工員製造工場だったり、時代によって学校の役割が変化したとは思いますが、どうしても、その今の時代のサラリーマンというものに合わない人たちがでてくるのは事実だと思います。
学校だけではなく、日本社会全体が多様性が無いというか、流動性が無いというか。
学校→就職の流れに合わないひとたちの受け皿が少なすぎるんですよね。その受け皿のひとつに「起業」というのはアリだと思います。
感動的なペパボの由来
家入さんの合資会社マダメ企画は、社名を変えPaperboy&co.「ペーパーボーイアンドコー」になります。略してペパボです。
この社名を社員の前で発表するときの、家入さんのスピーチは感動的ですので、ぜひ本編でごらんください。
ペーパーボーイとは、新聞配達員のことです。
新聞配達員として働いた、あの二年間がなければ、今の僕はきっとなかった。これから先、僕達にどんなことが起きても会社がどんなふうに変化していっても、いつでもあのときの初心に返れるように僕なりにそんなことを考えて命名した、新社名だった。
家入さんの人生を変えた一番の要因は、新聞配達員の二年間でした。
人は挫折をすると、むやみやたらと大きいことを妄想しがちですが、大きいことを狙わず、地に足をつけた戦略だったことが、家入さんの勝因だったと思います。
スモールステップの積み重ねですね。
運命の決断
順調なペパボにグローバルメディアオンライン(現GMOインターネット)からの、買収話が持ち上がります。これを機に家入さんは岐路に立たされます。
GMOみたいに、上場をして大企業に成長させたいのか、それとも、今くらいの規模で気の置けない仲間と手の届く範囲でやっていきたいのか、決断を迫られます。
と、同じような時期にHさんで有名なL社の子会社化の話と、N社の出資の話が起こります。贅沢な悩みですね。
ある日、息子さんと公園で遊んでいた、家入さんは、はっとします。
人と話せない、人の目を見ることができない、上手く笑えない。……あの頃の僕は、いつの間に過去のものになったんだろう?(中略)そのときに僕は気が付いた。僕にとって、最も大切なもの、それは、普段まるで意識しないほど自然に僕の周りにいてくれる、たくさんの「人」だったのだ。
この人たちにとって、最もいい選択をしたい。そう思った家入さんは、GMOとの資本提携の道を選択します。
『人と話せない、人の目を見ることができない、上手く笑えない』これらは対人恐怖の症状です。それらを治そう、直そうと思えば思うほど、かえって緊張して治らないものです。
とりあえず、それらの症状は置いといて、自分のやるべきことに集中していると、いつのまにか、それらの症状は過去のものになっていたりするんですよね。
逃げることは、悪いことじゃない
『ひきこもりからIT社長へ』そんな記事が世に出ると、家入さんのもとにはひきこもりに関する取材の依頼が舞い込みます。しかし、ひきこもりを解決する魔法の言葉は存在しないと取材は断っています。
そんな家入さんがひとつだけ強く思うこと。
学校に行けない、人の顔を直視できない、外に出られない、そんな悩みを抱えていたあの頃の僕に、今の僕から一つだけ、言葉を掛けてやれるとすれば、僕はこう言いたい。
逃げることは、悪いことじゃない
わたしも、不登校からひきこもりになり、ブラック企業勤めなどしていましたが、それも辞めてしまい、逃げまくりの人生です。
家入さんの、『逃げることは、悪いことじゃない』の言葉には励まされますね。
まあ、今こうして生きているだけでも、わたしの過去の選択は間違ってはいなかったのかなと思います。
もうひとつの道
家入さんは、現在GMOペパボ、CAMPFIREなどシリアル・アントレプレナー(連続起業家)としてご活躍です。
その他にも、飲食事業の失敗、都知事選に出馬、落選などドラえもんの来ない未来ののび太くんも真っ青の波瀾万丈さです。でも、楽しそうですね。
わたしは、GMOとの資本提携のときに家入さんが選ばなかった、もうひとつの道、大きくしない起業、小さい起業、「法人ひとり」で、いつかわたしが「こんな僕でも社長になれた」と言えるよう、がんばっていきたいと思います。
まあ、まだ何の儲けも出てないけどね!
press 👍 and ⭐によるPixabayからの画像