こんにちは。カズゥです。
小飼弾の超訳「お金」理論の読書感想文。
前回の続きです。
税金と賃金の仕組み
「働いたら負け」は真実を突いている
- 「不労所得」の「不労」とは、「労働しないこと」。寝てようが遊んでようが、入ってくる所得のこと。
- 「働いたら負け」は真実を突いている。なぜなら、トマ・ピケティが著作『21世紀の資本』で、世界は「r > g」になっていることを明らかにしたから。
- 「r > g」を乱暴にまとめると、資産から得られる売却益や配当、利子、家賃収入といった不労所得が、労働者の給料の伸びよりも多いこと。
- 「働かざる者は食うべからず」などという常識こそが、私たちを貧しいままにしている。
これは、よくわかります。コロナショック後の株高の恩恵を受けて、わたしの保有株の含み益は安い家一軒分ぐらいあります。
この含み益をわたしが普通に労働で貯蓄するとなると、一生をかけて働いたとしても達成できない貯蓄額です。
あと、芸能人は芸能事務所に所属する社員である限り、労働者で資本家ではありません。
なので、あれだけの高額のギャラを稼いでいても、とても忙しそうで、休む暇もなさそうです。
しかも、売れるとすぐ豪邸を買っちゃいます。豪邸なんか買ったら、自分の資産のポートフォリオが不動産でパンパンになっちゃいます。
わたしならまず株から買うのになといつも思ってしまいます。まあ、余計なお世話ですけど。
消費増税は、「持てる者」の陰謀
- 消費税はアンフェア。これほど経済の邪魔をする税制は他にない。
- 金持ちほど消費税がかからない金融商品を買える。株を買った場合、投資で消費ではないので消費税がかからない。金持ちほど消費税は節税しやすい。
- お金に余裕がある人ほど、消費の対象ではないものを買って、資産を増やしやすくなる。
- 消費税は、参政権がない未成年や外国人からも取る。日本に対して、権利を行使することができないにもかかわらず、納税の義務だけ負わされるのはいかがなものか?
わたしは個人的に、消費税というのは、お金を貯めこんでいる高齢者からも税を徴収できるので肯定的に捉えていたんですが、よく考えたら高齢者は消費意欲が衰えているので割に合わないかもしれませんね。
あと、確かに消費税は、参政権がない未成年や外国人からも取るので、もし、消費税率を将来的に上げたいのであれば、親が参政権のない子どもの分の票も代理で投票できる、ドメイン投票方式の導入も考えていかないと、アンフェアなのではないでしょうか。
あと、わたしはこの本を読むまで知らなかったのですが、土地自体の購入も売却も消費税がかからないんですよ!知ってました!?「消費」じゃないからですって、奥さん!
個人で土地を売却する分には、消費税を納める必要はないそうです。(売却益がでたら譲渡所得になりますが)
こりゃ、確かに土地をたくさん持ってる金持ちに、消費税は有利ですね。
社会保障と税金は一本化すべき
- 実は、厚生労働省が集めているお金のほうが財務省の集めているお金よりずっと額が多い。
- 財務省と厚生労働省が別々に集めるから効率が悪い。
- 公的年金や公的医療保険には天井がある。お金持ちに有利。
- 貧困世帯は税金を免除されても、社会保障の負担から逃げられない。
最近、井上純一著「がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか」というマンガを読んで知ったのですが、保育所働いているのは保育士で厚生労働省の管轄で福祉施設、幼稚園で働いているのは幼稚園教諭で文部科学省の管轄で教育施設と、ただでさえ、ややこしいのに最近はこれに加えて内閣府が管轄の認定こども園というのがあるそうです。
そして、保育所の中でも、認可保育所と認可外保育施設と東京都がやってる認証保育所があるそうです。そして、保育施設がいろいろあるわりには保育士の給料は安いと。
このように日本という国は、社会保障と税金以外にも、いろんなところが口を出して、なんでも一本化できない国ですよね。なんで、もっとシンプルにできないんでしょうか?
たぶん、利権なんでしょうね。そういえば、東京オリンピックも最初のコンセプトは場所も予算もコンパクトなはずでしたが、利権がからんだのか、ムダにでかいオリンピックになってしまいました。
日本政府は、お金の出入りを管理できていない
- 日本政府はお金の出入りをうまく管理できていない。
- 日本の公的年金は、積み立て方式ではない。払われた保険料のほとんどは、そのまま受給者の給付金に当てられている。
- 財務省と厚生労働省の集めるお金に重複や漏れがある。
- 国が集めるお金については「歳入庁」「歳入省」が必要。
- 歳入省が税金も社会保障関連の保険料も全部まとめて、それを分配すればいい。こうすれば、お金の出入りがすっきりして、ミスも少なくなる。
わたしはついこの間まで年金は積み立て方式だと思っていました。賦課方式といって現役世代の収入から、そのまま年金生活者へ配られていたんですね。
橘玲さんは、こちらの記事で
厚労省が失態を繰り返すのは「素人」だから(橘玲) – Yahoo!ニュース
日本の会社の際立った特徴はスペシャリスト(専門家)をつくらないことで、「ゼネラリストを養成する」という建前のもと、数年単位でまったく異なる部署に異動させていきます。
と、この記事での厚生労働省の不祥事は統計の基礎を知らない素人が集まっているからと説明しています。
日本政府がお金の出入りをうまく管理できていない問題も上記の記事と似ている気がします。たぶん、素人が行っているのでへたくそなのでしょう。
日本は、不労所得で食っている国だった!
- 日本にはお金がないのではない。国全体は十分な資産を持っていて、そこから得られる配当や利息で暮らしていける大金持ちなのに国民にうまくお金を配分できていないだけ。
- 日本の「失われた30年」とは、この再分配の失敗に尽きる。
実は、日本は十分資産を持っているとのことです。
しかし、お金の出入りを管理できていないうえに配分するのもへたくそということです。
日本は、めんどくさいから、一律で配るのが好きですもんね。
コロナ禍での飲食店への時短協力金も、一律1日6万円で、お店によって助かるところと足りないところのバラツキがすごいです。
なぜあなたのところにお金が回ってこないのか?
- なぜあなたのところにお金が回ってこないか。その理由は金の卵を産むガチョウを持っていないから。
- 金の卵を産むガチョウにはいろんな種類がある。不動産でもいいし、会社の株式でもいい。
- 放っておいても、お金を生み出してくれるのは、すべて金の卵を産むガチョウ。
- 場合によっては、楽曲やマンガ、動画だったり、コンピュータプログラムかもしれません。
- いったん資産を手に入れることができれば、その資産は金の卵を産むガチョウになり、不労所得をもたらす。
- ガチョウのオーナーシップを持っていない限り楽にはなれないし、豊かにはなれない。
ここで言う、金の卵とは不労所得ですね。家賃、配当、印税、広告収入などでしょうか。
ガチョウはその不労所得を生み出すもの、不動産、株式、楽曲、マンガ、YouTube動画、スマホアプリなど。
これも、「r > g」の「r」つまり不労所得を持っていないと豊かにはなれないということですね。
しかも、その得た不労所得(金の卵)を消費せずに、再度不動産や株式(ガチョウ)の購入にあてれば再投資になって、ぐるぐると利益(金の卵)を生み出すことができます。
一旦金持ちになってしまえば、ずっと金持ちなわけです。こうして格差が広がっていくのでしょう。
問題はオーナーシップの過剰な集中にある
- 問題は、ガチョウの仕組みを所有することではなく、その所有権、オーナーシップが過度に集中していること。
- 日本では不動産や会社といった資産の所有権の85%が、65歳以上の人に集中している。
- 所有権が「あまりお金を使わないお金持ち」に集中しているのは問題。
- デジタル技術の発達が所有権の集中に拍車をかけている。
- 「モノ」=普通の「モノ」は使うと減る。お米は食べればなくなる。石油も燃やせばなくなる。
- 「コト」=抽象的な権利、デジタル技術によって生み出されるデータ。「コト」は使っても減らない。ネット配信の音楽、映画、書籍は聴こうが、観ようが、読もうが在庫はなくならない。特許権や著作権のような権利もなくならない。「コト」を作ったり流通させたりする仕組みの所有者には、お金が流れ込みやすい。
- モノやコトを生み出す資源を所有していると、お金が流れ込んでくる。そうでなければ、豊かにはなれない。これが今の世の中のルール。
「モノ」と「コト」の違いをおそば屋さんで例えると、お店に来たお客さんにおそばを提供すると、それは「モノ」で、そばやめんつゆの在庫はお客さんの数だけ減るわけです。お客さんが10人来たら、10人前の在庫が減ります。
ところが、このおそば屋さんがYouTuberデビューをしてそば打ち動画を作ります。まあ、収益化は難しいとは思いますが、このおそば屋さんのそば打ち動画のトークがことのほか面白くバズったとします。すると、この動画は「コト」になり、再生され続ける限り収益を生みます。そして、もちろん動画再生されたからといって、そばの在庫は減るわけではありません。
もしかすると、普通にお店に来たお客さんにそばを提供するよりも、利益を上げるかもしれません。
この「モノ」より利益を生みやすいであろう、「コト」を多く所有しているのが、65歳以上のお金持ちたちです。その一部の人たちに集中しているのが、問題であるとのことです。
しかもですよ、お金持ちの90代の親が亡くなって、60代の子供が相続すると、消費意欲の衰えた高齢者の間でだけお金がぐるぐると循環します。
そりゃ、みんながいつまでたっても豊かにはなれないはずです。
賃上げ要求は、金持ちの思うつぼ
- では、そんな素敵な資産を持っていない人は、どうすればいいのか?「もっと給料を上げろ」とか「休みを増やせ」とかの要求は間違い。
- 正解は、「オレにも所有権をよこせ!」
- 働かなくてもお金が入ってくるなんてことはなかなか信じられない、自分には無関係のことだと思っている。
- 「労働時間はゼロだけど、利権を独占するな!」でいいんです。
確かに、わたしも実際に株式を買って、配当をもらうまでは不労所得というのは信じられなかったですからね。
しかし、「オレにも所有権をよこせ!」といっても、なかなか難しいかもです。
労働と福祉は、きちんと分離すべき
- 本来は政府がやるべき多くの仕事を、会社にアウトソースしている。
- これまでの日本型システムでは、福祉は民間企業によって提供。
- 怪我や病気→会社の健康保険を使って治してください。
- 結婚、子ども→会社から扶養手当をもらってください。
- 定年退職→会社でかけていた年金をもらってください。
- 会社は税金や社会保険料を納める窓口にもなっている。
- 会社はもうそんな負担には耐えられなくなって福祉を提供する仕組みは崩壊。
- 福祉を提供せずブラックに従業員を働かせたほうが儲かるから。
- 福祉はどこかの会社に籍を置いていないと与えられない。労働を介してしか福祉を得られない。
- 儲かっている会社にたまたま就職できた人は十分な福利厚生を得られるが、そうでない人は、自前でなんとかしなければならない。労働と福祉は、きちんと分離すべき。
個人事業主(フリーランス)になるためにいろいろ勉強しているのですが、つくづく日本は会社に属していないと厳しい社会だなと改めて思います。
でも、おかしいんですよね。非正規社員のほうが、正社員よりリスクがあるんだから、賃金は良くてもいいはずなんですが、安定している正社員のほうが良いんですよね。
それと同じで、個人事業主もリスクがあるのに、福祉も、セーフティーネットも薄いんですよね。ペラペラの紙みたいなセーフティーペーパーですよ。
これだと、誰もリスクを取ってチャレンジしなくなります。チャレンジしない社会はなんのイノベーションも起こせません。
政府はお金の管理、配分がへたくそなくせに、その仕事は人任せにしません。しかし、福祉はめんどくさがって、会社に丸投げしているのが、いろいろな問題を引き起こしている気がします。
しかも、会社の質によって福祉の質も決まってくるので、会社がブラックだと福祉もブラックになります。
つまり、たまたま入った会社の質によって、人生がある程度決まってしまいます。本来、良い会社に入ろうが入るまいが、悪い会社に入ろうが入るまいが、働こうが働かまいが、人生は幸せに生きていいはずです。
ここらへんは、日本政府は「自己責任」と言う言葉を使って、いろいろ誤魔化している気がします。悪い会社に入ったあんたが悪い、働かないあんたが悪いみたいに。
労働と福祉が、きちんと分離されていたほうが、安心してチャレンジできると思います。
その3に続きます。