こんにちは。カズゥです。
それでは、『小飼弾の超訳「お金」理論』の読書感想文、その3です。
お金を配ろう
「バラマキ」がダメなのは、ちゃんとバラマかないから
- 政府の行うバラマキ政策の何が良くないか?「きちんとばらまかれていない」ことに尽きる。
- ムラが出ないように、みんなに行き渡るようばらまくには、きちんと準備をして丁寧に行わないといけない。
コロナ禍での特別定額給付金10万円を配るだけでも、バタバタしましたね。
「バナナはおやつですか?」問題を解く
- 「誰がいくらもらうべきか?」は非常に難しい問題。
- 年齢で区切ればいいのか?
- 所得で区切ればいいのか?
- 家庭の事情を斟酌すればいいのか?
- 「バナナはおやつですか?」問題が起こる
- 遠足のおやつは300円までと言われると「バナナはおやつに入りますか?」と聞くヤツが絶対に出てくる。
- 一人一人の置かれた事情に応じて配るお金の額を決めようとすると、膨大な手間がかかる。
- 「バナナがおやつ」かどうか決めるには、コストがかかる。
国民にお金を配るとして、「誰がいくらもらうべきか?」を考えると、さまざまな意見が生まれて混乱してしまう。それが、「バナナはおやつですか?」問題。
一人一人の事情を考慮してお金を配るのは、コストがかかりそうですね。なぜなら、各家庭の状況を調べることから始まってしまうからです。そうすると、お金を配るスピードも失われます。
しかも、日本のことですから「家計管理局」みたいなムダなものを作って、予算をぶんどってまた利権を確保しそうですw
全世界が「働かざる者食うべからず」病にかかっている
- 「バナナはおやつですか?」問題に悩まされず、お金をばらまく方法。それが「ベーシックインカム」という仕組み。
- ベーシックインカムは、政府が国民に対して、生活に必要最低限度の「現金」を、「一律」かつ「定期的」に給付する。
- 生活保護との大きな違いは、対象が全国民、給付額も同じ。金持ちも貧乏人も全員に同じ額のお金を配る。
- ベーシックインカムは反対意見も根強くある。スイスの国民投票では大差で否決された。
- 否決された一番の理由は「働かざる者食うべからず病」と推測。この病気は全世界に広がっていて、大勢の人の目を曇らせてしまっている。
- 日本でも、資産も収入も少ない若い人ほど消費増税を進める政党を支持していたりする。
- なぜ自分にとって不利な結果になる行動をとってしまうのか?仮説としては「たいていの人は不労所得のことを知らないから」
- こういう下記の不労所得は、まったく労働を必要としない。利権を持っていさえすれば、お金が自動的に入ってくる。
- 株式を所有して配当が入ってくる。
- 土地や家を人に貸して賃貸料を受け取る。
- 口利きをして未公開株をもらう。
- 役職についているだけで顧問料が入ってくる。
- 音楽やマンガがヒットして印税が入ってくる。
- 持たざる者は労働の対価でないとお金はもらってはいけないと思い込んでいる、あるいは持てる者に信じ込まされている。
- 既得権益による政治的な抵抗も大きいがコロナショックによってベーシックインカムの導入が進むかもしれない。
- どこかの国が実行してうまくいったら、あっという間に世界中の国でコピーされる。
ベーシックインカムで、とりあえずお金をバラまいてしまってから、その後、残ったお金の使い道をいろいろ考えるということですね。
お金の出入りの管理、配分がへたくそでスピード感もない、日本には向いていると思います。そもそも、日本は一律で配るのが好きですからねw
ベーシックインカムが、実現されれば働き方も変わってきますね。今の時代、脱サラしてフリーランスになるとしても、最初は仕事がないでしょうから、貯金が生活費半年分から一年分は欲しいところ。しかし、ベーシックインカムがあればすぐにでもフリーランスになれますね。必要最低限度の現金をもらえるわけですから。
あと、月給とか月々の収入がなくとも、生きていけるわけですから、年に一度の大きな収入で生活していくという仕事のスタイルも可能です。例えば、プロジェクトを立ち上げてみんなでワッと集まって、半年間、仕事をして収益が上がったら解散、あとの半年間は、旅行をしてのんびり暮らすとか。
仕事も、辞めやすくなるので、雇用の流動性が高まりますね。無理してブラック企業にいる必要もなくなるので、ブラック企業は淘汰されていくと思います。
「日本株式会社」の配当をもらおう
- ベーシックインカム以外にも、国民全員にお金を配る方法はいくつか考えられる。例えば、「ベーシックアセット」。
- 日銀の、上場投資信託(ETF)の買い入れ、2019年3月末時点の残高、24兆7848億円。
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)2018年度末時点での運用資産額、約159兆円。このうち国内株式は約39兆円。
- 日本国憲法は「国民主権」を謳っている。日本政府の資産の所有者は日本国民と考えるのが妥当。
- 日本国民のみなさんは、すでにさまざまな会社の株主。日本株式会社の株主。
- 現在、この日本が所有している資産からのアガリは、とても面倒くさいやり方で国民に賃金として配られる。
- お金の情報がデジタル化され、日本の所有する資産、「ベーシックアセット」からの配当や収益を国民に配るだけで、ムラなくお金をばらまくなど簡単にできる。
- いかなる国民であれ、日本株式会社の株式を1株でも持っていたら、少なくとも飢えることはなくなる。
- 国民が所有する資産を、国民が最低限文化的な生活を営むために充当する、これは真っ当なロジック。
日本には、現金以外の資産がたくさんあるということです。
日本政府に現金をくれと言うのは、少々躊躇しますが、株式の配当なら自分にも分けてくれと言いやすいですねw
なんたって、われわれは「日本株式会社」の株主ですからね。
「コト」は使っても減らない
- 当たり前だが、「モノ」には実体がある。ところが、「情報」や「権利」といった抽象的なもの、「コト」の場合は事情が変わってくる。
- 少し前まで本は「モノ」だと思われていた。インクが少しばかり付いた紙の束。「モノ」としての本はベストセラーなどはすぐ在庫切れになる。
- 書店で売っているのは、紙の束というパッケージに収められた「コト」。
- デジタル技術がすべてを変えてしまった。
- 「コト」は低コスト、在庫も気にしなくて良い。
- コンテンツでお金を稼ぐのは大変だが当たれば大きい。
- 今の世の中で成功している会社、個人は何らかの形で「コト」を利用して儲けている。
「コト」については、前回、そば屋さんに例えて説明してみました。
今の世の中で成功するには、「コト」を利用するということですね。まあ、確かに難しいとは思いますが、当たれば大きいと思います。
もう一度、お金とは何なのか?
- 豊かさとは何か?これまで、できなかったことができるようになること。
- お金自体に価値があるのではなく、ケイパビリティ(能力、可能性、強味)、つまり人々が欲するモノやコトを増やす媒介となることに意味がある。
- 欲しいモノが得られて、できることが増えていくのであれば、お金の量は増えなくても豊かと言える。
- 物事の価値は、ケイパビリティを増やすかどうかで計るべき。
- ケイパビリティ=できること=多くの人に支持されたものが残っていく可能性が高い。
- ケイパビリティ(できること)を増やすには?お金が必要な人にお金を渡せばいい。
- ある程度の富がみんなに行き渡っていないと、誰も手に入れられないモノやサービスがいくらでもある。
- 金持ちの1人や2人だけでは作ってもらえないモノのほうがずっと多い。
正直、ここのケイパビリティという単語がよくわからなかったです。なんとなく、スパイシーな感じがしましたが、関係ありませんでした。
わたしなりに、ケイパビリティは「できること」と訳してみました。
そして、なんとなく、お金は「道具」なのかなと解釈しました。お金=道具を「包丁」で例えてみます。
釣りをしていて、魚が釣れました。そこで、調理をして食べることにしました。包丁がなかったので、そのまま塩焼きにして食べたら、とてもおいしかった。まあ、それでいいわけですね。しかし、包丁があれば、塩焼き以外にも、おいしいお刺身とか食べられるわけです。
包丁自体は、ただの道具で、無くても料理がおいしければいいわけですが、それでも、包丁があれば料理のバリエーションが広がり、さらにおいしい料理を食べることができるわけです。
あくまでも、包丁は道具であって、目標はおいしい料理を食べることです。
しかし、今の世界では一部のお金持ちが包丁を独占しているので、みんなにいろんなおいしい料理のアイデアがあっても、それを実現できないでいる。
お金持ちも、包丁を独占していることによって、かえって自分たちもおいしい料理のバリエーションを楽しめないでいる。
ならば、どうしたらいいか?
みんなに包丁を配って、それぞれのおいしい料理のアイデアを実現してもらう。これで、お金持ちから貧乏な人まで、みんながおいしい料理を味わうことができる。
こんな感じで、お金を包丁に例えて解釈してみました。
資本主義、本気出せ
- 人の営み、中でもお金のやり取りは、ルールがすべて。今は、お金にまつわるルールのできが悪くて、ゲームがとてもつまらなくなっている。
- ゲームを面白くするため、基本は変わらないが時代によって、細かなルールが修正され続けるサッカーのようにルールを変えていくべき。
- いったん資産を持ったら、その資産が不労所得を生み、さらに資産を増やしていく。所有者は何もする必要がない。さらにお金持ちになればなるほど税金面でも優遇される。
- 最初にたくさんのお金を持ってさえいれば、お金を稼ぐのなんてバカでもできる。
- 最初に点を取ったプレイヤーにはずっと点が入り続け、ほかのプレイヤーには点が入らない。そんな状況が試合終了までずっと続く…。そんなゲームを見ようと思うか?
- 少人数のお金持ちがいるだけでは、世界はどんどんつまらなくなる。
- ならば、どうすればいいか?お金が必要な人にお金を渡せばいい。
- ほとんどの国は、国民から税金としてお金を搾り取ろうとするが、そんなことより、お金を配って知恵を搾り取ったほうがずっといい。
- デジタル技術が進歩したことで、昔よりもはるかに低コストでお金を配れるようになっている。さっさとみんなにお金を配ったらいい。
- 今のお金のルールがどうなっているのかを理解し、お金という共同幻想をバージョンアップしていきましょう。
- ダメなルールには親指を下に向けてブーイングし、言ってやるのです。「資本主義、本気出せ」と。
今の世界では、お金にまつわるルールのできが悪いため、ゲーム(人の営み)がつまらなくなっているとのこと。
サッカーは、よりゲームが面白くなるために、細かなルールを変え続けていますね。変えるだけではなく、試すこともします。
昔、スローインではなく、フットサルと同じようにキックインを試した時期がありました。ボールがラインを割ったら、手ではなく、コーナーキックと同じようにキックでボールを入れるのです。しかし、試合展開が大味になるからか、正式採用はされませんでした。
このように、新しいルールを試してみて、うまくいかなかったら不採用にする柔軟性がサッカーにはありますね。
それと比べると、今の世界にはそういった、とりあえず試してみる柔軟性が失われている気がします。特に日本は、とっくに時代に合わなくなったルールをいつまでもズルズルと守って、硬直化しているところがありますね。学校の校則とか、おかしいのありますよね。
あと、サッカーの魅力のひとつに、ジャイアントキリングが起こりやすいことがあります。戦力で劣る弱いチームが強いチームに勝ってしまうというやつですね。
今の世界は、ジャイアントキリングのない世界ですね。戦力(お金)で勝るチームが、ここ10年ぐらい優勝し続けている感じで、みんなが飽き飽きしている状況です。ここはやはり、戦力(お金)が均等になって、ゲームが面白くなるようルールを変えてほしいところです。それが、みんなにお金を配って知恵を搾り取れということなのでしょう。
なんか、サッカーの話が多くなってしまいましたがw、みんなでお金のルールをバージョンアップして、この世界にジャイアントキリングを起こしましょう!
終わりに
というわけで、全3回にわたって『小飼弾の超訳「お金」理論』の読書感想文を書きました。お付き合いいただきありがとうございました。
しかし全部、要約できたわけではありません。暗号資産についてとか、もっといろいろ書いてありますので、ぜひご購入いただいてお金についての理解をバージョンアップしてみてください。
Gerd AltmannによるPixabayからの画像