こんにちは。カズゥです。
今年は、ビートルズデビュー60周年です。
そこで、ビートルズに興味を持ったとき、どのアルバムを最初に買えばいいのか、悩みますよね?(唐突)
実は、ビートルズのアルバムを、適当に買ってしまうと失敗する場合があるのです。
ベストではビートルズの本当の魅力はわからない
日本で一番売れているビートルズのアルバムは、シングルの1位になった曲を集めたベストアルバムの「The Beatles 1」だそうです。
ベストアルバムは有名曲を手っ取り早く聴くにはいいとは思いますが、それだけでは、ビートルズの魅力はわかりません。
数多いビートルズの魅力の一つに、『オリジナルアルバムに収録されている曲の中で、あまり有名ではないが、とても優れた佳作がある』ことがあります。
なので、ベストアルバムを最初に買ってしまうと、有名曲だけで満足してしまって、オリジナルアルバムの佳作を聴かぬまま、ビートルズライフを終えてしまうことになります。それでは、もったいないです。
これは、俗に『赤盤、青盤』といわれる、有名なベストアルバムを買っても同じです。
そこで、今回はオリジナルアルバムの中から、「最初に買うならこの3枚」を紹介したいと思います。
なぜ、3枚かというとビートルズには、前期、中期、後期と時代があり、1枚には絞れないからです。
最初に聴くには難易度の高い『Sgt. Pepper’s』
本題に入る前に、「Sgt. Pepper’s」について一言。
最高傑作と名高い、「Sgt. Pepper’s Lonly Hearts Club Band」 ですが、ビートルズ初心者が聴くには、実はちょっと難易度が高いです。
わたしも、ビートルズ初心者のころに、最初に聴くなら最高傑作と名高い、「Sgt.Pepper’s」だろ、と購入しましたが、正直、あまり良いとは思わなかったです。もちろん、今では好きなアルバムのひとつですが。
実はあまり、ロックっぽくないアルバムなんですよね。ならば、サイケかというと、サイケでもない気がします。「A Day In The Life」は、サイケっぽいですけども。
ビートルズが別のバンドを演じるという、ロック史上初のコンセプトアルバムということになっています。
しかし、実質はまとまりのない楽曲群を前にしたポール・マッカートニーが思いついた苦肉の策でした。しかし、それでコンセプトアルバムにして最高傑作にしてしまう、ポールはさすがです。
なので、アルバム全体としては奇跡的にまとまりがあるのですが、1曲、1曲はビートルズの曲としては弱い曲もあります。
そのためかどうかはわかりませんが、ポールはライブで「Sgt. Pepper’s」の楽曲をあまり取り上げないんですよね。「Fixing A Hole」とか「Lovely Rita」とかやりません。
結局、「Sgt. Pepper’s」の偉大さは、ロックが苦手な人たちにも影響を与えたことです。
なので、ロックっぽくないアルバムなので、いきなり、最初に「Sgt. Pepper’s」をロックファンが購入して聴くと「?」ってなっちゃうんですよね。
ビートルズアルバム最初に買うならこの3枚
ようやく、本題です(汗
前期「A Hard Day’s Night」
ビートルズの3作目のアルバムで、 同名映画のサウンドトラックでもあります。
全編、レノン=マッカートニーのオリジナル曲だけで、カバー曲はありません。
もちろん、アルバムタイトル曲の「A Hard Day’s Night」や、「Can’t By Me Love」などの有名曲もありますが、前述した佳作がたくさんのアルバムで、捨て曲無しだと思います。
ちょっと紹介します。
- ハーモニカとジョンのちょっとひび割れたようなボーカルが、カッコいい「I Should Have known Better」
- ビートルズの曲の中でも、ハーモニーの美しさは上位に入るんじゃないでしょうか「If I Fell」
- ギターのカッティングをマネしたい「I’m Happy Just To Dance With You」
- 一般的にはあまり有名ではない割に、ポールがライブでよく取り上げる「Things We Said Today」
- 不協和音なイントロがカッコいい&珍しいジョンのリードギター「You Can’t do That」
- 個人的なお気に入りはラストの「I’ll Be Back」です。
前期ビートルズの、オールディーズっぽい感じが苦手な人にも聴きやすいアルバムです。
ビートルズは時代が進むごとに、主導権がジョンからポールへ移っていきましたが、このアルバムはジョン主導のアルバムです。
ライブに疲弊する前のジョンの音楽活動へのモチベーションが高い時期で、ジョンが自分の声にエフェクトをかけるようになる前の、ジョンの独特のひび割れたような声のボーカルも最高です。
小さい頃から、今の時代のいろんな音楽を聴いて育ったわたしたちには、ビートルズの曲はおとなしく感じますが、リアルタイムでビートルズを初めて聴いた人たちには、相当うるさかったそうで、「A Hard Day’s Night」などは、リアルタイムで聴いていた人によると、当時としては、うるさい楽曲だったようですw
「A Hard Day’s Night」の何がうるさいかというと、ジョンのバッキングがガシャガシャとうるさいですw
6弦全部を、ガシャガシャと弾きます。奏法としては、あまりロックっぽくない弾き方なのに、そのうるささが逆にロックっぽさを出してるので、面白いですね。
中期「Magical Mystery Tour」
こちらも、同名テレビ映画のサウンドトラックです。
アルバムタイトル曲の「Magical Mystery Tour」は有名ですね。今でもテレビのバラエティー番組などで、海外に行くシーンで、かかったりします。
ビートルズ初心者には「Sgt. Pepper’s」よりも有名曲が多いので、こちらのほうが、聴きやすいかと思います。「Hello, Goodbye」や「All You Need Is Love」も有名ですね。
ちょっと楽曲紹介。
- ロックの金字塔、「Strawberry Fields Forever」と「Penny Lane」
- 名曲なのになぜか、あまり知られていない美しい「The Fool On The Hill」
- 聴いているとトリップしそうになる、ジョージの「Blue Jay Way」
- このアルバムのサイケっぽさに拍車をかけている「I Am The Walrus」
コンセプトアルバムではないのに、なぜか統一感があります。こちらも、有名曲と佳作のバランスの良いアルバムです。
中期というと、前述した「Sgt. Pepper’s」の他に「Rubber Soul」と「Revolver」があります。
「Rubber Soul」も名曲ぞろいなんですが、わたしは、なぜか飽きてしまうのです。たぶん、どことなーく、カントリーのニオイがするのが個人的に好みでないのかもしれません。
「Revolver」は、わたしとしては一番好きなアルバムなのですが、初心者にはおすすめしないかなといった印象です。初心者が聴くには、やはり実験的すぎるかもしれません。そこがいいんですけどね。
ということで、中期の作品で、ビートルズ初心者は、この「Magical Mystery Tour」が意外と聴きやすいかなと思います。
後期「Abby Road」
横断歩道をメンバーが横断するジャケットで有名な、12作目のアルバムです。
オリジナルアルバムの中では、日本で1番売れているそうです。
1番売れているものを、買うのはアリですね。こちらを、ビートルズの最高傑作に推す人たちもたくさんいます。雰囲気的には大人のビートルズといった感じのアルバムです。
前作の「Yellow Submarine」までは、ステレオ盤とモノラル盤が並行して作られていましたが、「Abby Road」はステレオ盤のみです。
だからなのかはわかりませんが、他のアルバムと比べても、とても音質が良い気がします。なので、今の音質の良さになれている人たちには、聴きやすいアルバムだと思います。
このころの、ジョン・レノンは、オノ・ヨーコとの出会いにより、曲作りのモチベーションが下がり「I Want You(She’s So Heavy)」、「Because」など、ヨーコ絡みの曲以外は、未完成の曲が多かったようです。
「Come Together」はポールが手伝い完成させ、「Sun King」、「Mean Mr. Mustard」、 「Polythene pam」などの短い曲たちは後半のメドレーに組み込まれました。
しかし、ここでもミラクルが起こります。
ポールの「Golden Slumbers」もそうなのですが、メドレーなので、それぞれの曲が短いです。しかし、その短さゆえに、かえって、もっと聴きたい衝動に駆られ、何度でも聴きたくなる魅力があります。
サブスクでランダムに視聴するのもいいですが、ビートルズのアルバムは曲順も計算されているので、通しで聴くことをおすすめします。
以上が、ビートルズ初心者におすすめする最初のアルバム3枚です。
ちなみに、わたしの好きなアルバムは、前期は変わらず「A Hard Day’s Night」、中期は「Revolver」、後期は「The Beatles」です。
気に入った時代の前後を買い集める
この紹介した3枚を聴いて、気に入った時代が あったら、その時代の前後の作品を集めるといいと思います。
「A Hard Day’s Night」の前後は、
- デビュー作の「Please Please Me」
- セカンドの「With The Beatles」
- 4作目「Beatles For Sale」
- 映画2作品目のサウンドトラックの「Help!」
「The Magical Mystery Tour」の前後は、
- 作風が変わり始めた「Rubber Soul」
- ライブ休止後の実験的な作品「Revolver」
- 最高傑作の呼び声高い「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」
「Abby Road」の前後は、
- カオスな魅力、別名ホワイトアルバム「The Beatles」
- 同名アニメ映画のサウンドトラック「Yellow Submarine」
- 同名シングル曲の人気が高い「Let It Be」
それぞれの時代を集めて、もし他の時代も気になったら、ぜひ集めましょう。
あ、そうそう、「Yellow Submarine」を買うのは一番最後でも構いません。
『パストマスターズ』の1.2を買った後、全部コレクションしたくなった場合に、購入してくださいw
ラジオのチャンネルを変えられないようにイントロを工夫していたビートルズ
ここからは余談です。
今の若いリスナーは曲のイントロを飛ばすそうです。それと、間奏もギターソロとか飛ばすらしいですw
まあ、今の時代はかんたんに、スキップできますしね。
ビートルズはこれらについても 何十年も前に対策していました。ビートルズの場合はラジオのチャンネルをイントロの時点で、変えられないようにとの工夫でした。
短いイントロ
まずは、短いイントロですぐに曲が始まるようにします。
代表例として「She Loves You」で、ドコン、ドコンとリンゴのドラムだけで始まります。
サビから始まる
次は、イントロ無しでサビから始まります。
代表としては「Can’t Buy Me Love」ですね。
いきなり、ケンバミーラーアー♪
インパクトのあるイントロ
一度聴いたら忘れられないインパクトのあるイントロも作っています。
「A Hard Day’s Night」の頭のコード一発、ジャーン。
「 I Feel Fine」のフィードバック音、ドゥンーーニョーーーーってヤツですね。
「Come Together」もインパクトがあります。
ベースのリフは日本人が聴いたら、ちょっとおどろおどろしい、オバケが出てくるんじゃないかと感じるフレーズです。そこにリンゴのドラム、なんかの儀式っぽいです。
さらにジョンの未来を暗示させる不吉な「Shoot me!」というセリフ?合いの手?他の音にかき消されて、「シュッ!」としか聴こえません。
チャック・ベリーの「You Can’t Catch Me」に似ていると感じたポールが、似ないようにアレンジした結果ですが、これらが相まってインパクトのあるイントロに仕上がっています。
プレミアム感のあるイントロ
プレミアム感のあるイントロというのは、イントロにしかでてこないフレーズやメロディのことです。
どんなにカッコよくても、イントロのたった1回しか使わない、贅沢なイントロということです。イントロのフレーズが1回しかないのなら、飛ばすのはもったいなくなります。
例えば、なんでも鑑定団のオープニングテーマに使われている「Help!」のイントロのフレーズはカッコいいですが、1回しかでてきません。
「If I Fell」は、Aメロからはジョンとポールのハモリなのですが、イントロはジョンのソロで、とてもセクシーです。しかし、イントロの1回しかありません。
「From Me To You」のちょっとユーモラスな出だし、ダダダーダダ、ズンズン、ダーも、イントロしかでてきません。
ジョン・レノンの曲には間奏が無いことが多い
ジョン・レノンの曲には、よく間奏が無いことがあります。まあ、これは工夫というより、ジョンのクセみたいなものですね。狙っているわけではないと思いますが、オマケで書きます。
間奏の代わりに、ミドルエイトと呼ばれるパートを足します。ミドルエイトとは曲の真ん中の8小節で、曲に変化を付けるパートです。まあ、ジョンの場合、そもそも、ミドルエイトも無いことが多いようです。
「This Boy」では、最初ギターソロだったパートがレコーディング時は、ミドルエイトになりました。
「Don’t Let Me Down」も、ギターソロがありそうな曲ですが、間奏は無く、ミドルエイトがあります。
ソロになってからの名曲「Imagine」も間奏はありません。
「Sgt. Pepper’s」収録の「Good Morning Good Morning」は間奏が無いどころか、サビもありませんw
まあ、サビが無いというか、ジョンはよく曲を未完成のままポールにぶん投げますw
というように、何十年も前に ビートルズはラジオのチャンネルを 変えられないように、イントロを工夫していました。
日本のアーティストも、イントロを飛ばす若いリスナーに苦言を呈する前に、やることがあるんじゃないでしょうか(えらそう)