こんにちは。カズゥです。
今回の読書感想文は、野口悠紀雄著『リープフロッグ 逆転勝ちの経済学』です。
よろしくお願いします。
リープフロッグとは?
リープフロッグとは、蛙飛びのことです。
蛙が跳躍して何かを飛び越えるように、それまで遅れていた国が、ある時、急激に発展し、先を行く国を飛び越えて、世界の先頭に踊り出る。そして世界を牽引する。
リープフロッグの特徴は「遅れていたことが有利に作用した」ということです。
著者の野口さんは「あまりに著しい日本の落ち込みぶりを何とかできないか」という願いからこの本を書いたそうです。
リードしたり、リードされたりの世界
各国がリードしたり、リードされたり、リープフロッグの歴史をざっと学ぶことができて楽しかったです。ちょっと紹介します。
中国
現在のデジタル化が著しい中国。
わたしは初耳だったんですが、中国では固定電話が普及していなかったそうです。固定電話が普及していなかったからこそ、インターネットが急速に普及します。
遅れていたからこそのリープフロッグ。日本はデジタル化では、すっかり中国にリープフロッグされちゃいましたね。
紙や火薬の発明など、過去の中国はそもそも最先端国でした。それが鎖国によって停滞し、ヨーロッパにリープフロッグされます。
アイルランド
もともとは、イギリスの支配下にあって工業化を実現できず、ヨーロッパの最貧国でした。
しかし、新しい情報技術に対応して、現在は一人当たりのGDPや労働生産性において世界のトップ。日本の2倍ぐらいだそうです。
工業社会を経験しなかったために、美しい自然や街並みが残っているそうです。
うらやましいですね。わたしの田舎は中途半端な工業化で、キレイな砂浜が次々とコンクリで埋め立てられました。小さいときに、潮干狩りとかで遊んだ思い出の砂浜です。
で、今、何で食ってるって観光で食ってるんですよね、わたしの田舎。だったら、砂浜残しておけよっていうね。もう、やだ。
大航海時代
中国に遅れていたヨーロッパは、大航海時代によって中国を追い抜くことになりました。
ヨーロッパの中で次々にリープフロッグが起き、覇権国はポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスなど交代しました。
イギリス
第1次産業革命を実現したイギリスが、ドイツやアメリカに追い抜かれます。
イギリスがガスや蒸気機関などの古い技術に固定されて、電気という新しい技術に対応できなかったためです。
日本はリープフロッグというよりキャッチアップ
日本の急速な工業化は、リープフロッグというよりキャッチアップだったそうです。
キャッチアップとは、まず先進国が新しい技術を開発、発展します。遅れて後発する国がそれをモデルとして追いつくことです。
技術の発明、開発には多大なコストがかかり、リスクも大きいです。ところが、後発国はコストを負担することなく新しい技術を用いることができます。先進国より簡単に短期間で経済成長を実現することができます。
これは、納得ですよね。日本は昔から、外国をモデルに発展、成長してきた国だと思うんです。
古代は中国の歴代王朝をモデルにしたでしょうし、明治時代はドイツ、戦後はアメリカをモデルにして、追いつけ追い越せで成長してきたと思います。
日本の遅れていること
リープフロッグの特徴は遅れていたことが、有利に作用したということでした。では、日本が遅れていることは何か?言うまでもなくデジタル化だと思います。
日本政府はようやく、2020年から全省庁のシステムをクラウドに移行していくことを決定しました。世界の潮流から見て、信じられないほどの遅れです
新型コロナの定額給付金では、オンラインより郵送のほうが早いと笑い話のような事態になりました。
キャッシュレス化もです。どこでもお金を下ろせるなど銀行のシステムが進んでいたから、キャッシュレス化は遅れました。「進んでいたから、遅れた」の典型例だそうです。銀行システムが未発達だった中国でキャッシュレス化が進んだことと対照的です。
その他諸々、日本のレガシー問題や既得権益の強さなど、日本の問題点が書いてあります。わたしは、それら日本の問題点を読んでいて頭が痛くなりましたw
しかし、遅れていたことが、有利に作用するのがリープフロッグです。わたしが、勝手に日本のリープフロッグを予想してみました。
日本は超少子高齢化でAI大国になるかもしれない
ここからは、この本を読んでのわたしの勝手な妄想です。
人口が異常に減少する日本の未来
日本の2019年の出生数は86万人で過去最少を記録しました。また、新型コロナの対策の徹底やウイルス干渉によるものか、例年よりインフルエンザなどの感染症での死亡が減り、超過死亡がマイナスでした。そして、コロナ禍により悲しいことに女性の自殺が激増しました。
これが何を意味しているか?
超少子高齢化社会になる日本の未来が、ほぼ決まってしまったということです。決まってしまったというか、コロナ禍によって、超少子高齢化社会の未来への加速が始まったということです。
それがなぜ、AI大国につながるか?
よく、AIというと「AIに仕事を奪われる」などと言われますが、そもそも仕事を奪われる「人」自体が、極端に少なくなる社会が到来するということです。
人手不足は外国人労働者に頼るはずでしたが、東南アジアなどの国々の経済成長にくらべると、日本は停滞しているので、日本で働く魅力が年々薄れていっています。
また、技能実習生の環境も劣悪で、犯罪に走る外国人もでてきました。そのうち、技能実習生として訪れる外国人もいなくなるものと思われます。
少子高齢化対策、デジタル化が遅れていることによるリープフロッグ
理想社会を目指すための前向きなAI化ではなく、労働人口の異常な減少によって致し方なく取り入れるAI化ではないかと思っています。
少子高齢化対策、デジタル化が遅れていることによる、AI大国へのリープフロッグです。
少子高齢化対策は、真っ先に取り組むべき課題でしたが、対策には何十年と時間がかかるため、もはや手遅れです。問題を先送りにしてきた、日本政府の責任は重いと思います。
他の国々は、適切なデジタル化により、不便もないためそれほどAIを必要としないかもしれません。アメリカやフランスなど、少子高齢化対策が成功した国でも、労働人口は確保できるため、AIは必要とされないでしょう。
しかし、日本は異常な人口減少によりもはや、AIに仕事を任せないことにはやっていけないのではないでしょうか?
いつのまにか普及するかもしれないAI
多くの人はAIをよく理解していないと思います。わたしもよくわかりません(おい)
Uberのような配車サービスが日本で展開できないのは、規制が強いのもありますが、Uberがタクシーに対抗するのがわかりやすいため、タクシー業界の反対を受けやすいからです。
それと比べると、AIは多くの人が理解していないからこそ、既得権益の反対にあいにくく、いつのまにか、社会に浸透しそうな気がします。
「先行者」を笑ってる場合じゃなかった
デジタル化に遅れている日本が、AI大国になるとは、想像もつかないかもしれません。が、
「先行者」って知っていますか?中国が2000年ごろに開発したロボットです。
その特異なデザインから、日本のネット上で話題になり、GIFアニメなどが作成され盛り上がりました。ググってみてください。
先行者とは、中華人民共和国の国防科学技術大学(国防科技大)の研究室で開発された人型二足歩行ロボット(ヒューマノイド)である。
引用:Wikipedia
わたしもそれらのGIFアニメなどで、楽しませてもらっていました。しかし、どちらかというと、「なんだ!?あのロボットのデザインw」と、上から目線のバカにした感じで楽しんでいたのも事実。
あの当時、デジタル化で中国に追い越されると、予想できた人はいたでしょうか?キャッシュレス化も「中国は偽札が多いから」とバカにしていたら追い越されました。
まさに日本は、中国にリープフロッグされたのです。
もちろん、ロボットとデジタル化は違うものですが、20年で追い越されたのです。20年~30年後に、日本がAI大国になっていてもおかしくないと思うのです。
いろいろ無料な社会
わたしが、年金の受給を開始する20年~30年後は、年金自体はほとんどもらえないかわりに、交通機関など各種サービスがAIによって自動化され、いろいろなものが、ほぼ無料で利用できるため、あまりお金を使わなくてすむ社会になっているかもしれません。
ここまでが、わたしの妄想です。この本には書いてありませんので、あしからず。
個人でもリープフロッグを起こそう!
野口さんはアリババの創業者、ジャック・マーのように個人でも逆転勝ちできると語っています。
個人や企業の逆転勝ちが、頻繁に行われる社会であればその動きが社会を動かし、国がリープフロッグするとのことです。
アフリカの最貧国などでは貧しい家に生まれると、初等教育の機会がなく逆転の可能性がありません。しかし、日本は基本的な構造においては逆転が可能な社会です。
逆転勝ちは社会の基本的条件が大きく変わるときに、起こりやすいそうです。新型コロナは新しいチャンスの到来と考えることもできるとのこと。
一人一人が、逆転勝ちできるよう努力をして、個人でもリープフロッグを起こしましょう!
Gerd AltmannによるPixabayからの画像